第9世代のCPUを搭載したクリエイター向けパソコン、DAIV-NG7630U1-M2SSをお借りしました。
一般的なデスクトップパソコンを凌ぐスペック(と価格)を誇る、マウスコンピューターの最新型ノートパソコン。
最新モデルでRAW現像はどこまで快適になるのか、写真編集だけではなくオンラインゲームなども快適に動作するのかを細かく検証してみました。
目次
DAIV-NG7630U1-M2SS

DAIVのNG7630シリーズは、通常デスクトップに用いられる高性能なCPUを搭載した、クリエイター向けのパソコン。
グラフィックスも高性能なGeForceのGTX1080を搭載しているため、高画素な写真データを扱うときをはじめ、動画編集や3Dゲームもサクサク楽しめます。
カメラマンにとってはマシンのスペックだけではなく、ディスプレイの性能も重要ですが、17.3型でAdobeRGB比100%の4K-UHD液晶パネルを採用。
場所を問わずにRAW現像や写真編集ができるハイエンドモデルです。
スペック
DAIV-NG7630U1-M2SSの基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | インテル Core i9-9900K 8コア/ 3.60GHz/ TB時最大5.00GHz/ 16MB スマートキャッシュ |
GPU | GeForce GTX1080 ビデオメモリ8GB |
メモリ | 64GB(16GB×4) |
ストレージ | 480GB ADATA XPG SX8200 NVMe対応 ×2 1TB Crucial MX500 ×2 |
グラフィックスはGeForceのGTX1080、ストレージに至ってはSSDを4基搭載(PCle ×2、SATA ×2)しています。
CPUは第9世代の最新モデル、8コア16スレッドのデスクトップ向けプロセッサーを搭載しています。

このスペック表だけを見ると、ノートパソコンとは思えないてんこ盛り感です。
ラインナップ
2019年7月時点でNG7630シリーズは販売終了となっています。
同クラスのモデルはNG7700シリーズに引き継がれていて、主なラインナップは以下の通り。
モデル | CPU | グラフィックス | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
NG7700S1-M2S5 | Core i7-9700K | RTX2080 | 16GB | 384,800円〜 |
NG7700M1-M2S10 | Core i7-9700K | RTX2080 | 32GB | 414,800円〜 |
NG7700H1-SS-BRAW | Core i7-9900K | RTX2080 | 32GB | 424,800円~ |
NG7700U1-M2SS | Core i7-9900K | RTX2080 | 64GB | 474,800円~ |
いずれのモデルも第9世代のデスクトップパソコン向けCPUを搭載しており、ストレージもM.2 SSDなので重たいデータもサクサク処理できます。
グラフィックスもハイエンドクラスのRTX2080が搭載されているため、クリエイティブ用途に限らず、がっつりパソコンゲームでも遊べます。
ただし、いずれも仕様や価格は記事更新時点のものなので、最新情報は都度公式サイトにてご確認をお願いします。
インターフェイス

外寸は41.7cm×29.5cmとかなり大きめ。
重量も約4.3kgと、ノートパソコンのなかではスーパーヘビー級。
分厚さも約4cmあります。
一般的なリュックやビジネスバッグで持ち運ぶのは不可能なサイズです。

前面はすっきりと、これといった接続端子はありません。

後方を見てみると、大きな排気口が左右に設置してあります。
外部映像出力端子はMini DisplayPort×2、HDMI×1。
すべて4K-UHD解像度に対応しているため、外付けの4Kディスプレイを3つ接続すれば、最大4画面で作業可能です。
現実的には設置場所の確保が大変そう・・・

ちなみに、底面にも排気用の穴がたくさん空いていて、目を凝らすと中身がチラッと見えます。
CPUに負荷のかかる作業中はそこそこの温度になるため、ひざの上で作業するときは何かしらクッションなどを挟むことをおすすめします。

左側にはUSBやSDカードを読み込めるリーダーがあります。
Type-Cポートは、Thunderbolt3に対応。
外付けのHDDやSSDを接続したときも、高速でデータを転送可能。
マルチカードリーダーもUHS-IIに対応しているため、3,000万画素を越える高画素の写真データも高速で読み込めますよ。

右側にはUSBとマイクやヘッドホンなどと接続するための各種端子が設けてあります。
持ち運びには不向きなモデル、かつ高額なパソコンなので、事務所などに置いておくときはケンジントンロックを使って持ち運べないようにしておくのがよさそうです。
バッテリー

バッテリーは着脱式で、仕様書による動作時間は約2.8時間。
もちろんパソコンの使い方次第なので、基本的には電源に接続して使うのが良さそうです。
スタバでドヤ顔したい方は別のパソコンをおすすめします。
ルノアールなどの喫茶店ならコンセントを借りられるので問題ないかも。
ACアダプターは巨大

以前、NG7620シリーズをお借りしたときにもお会いした巨大なACアダプター。
幼稚園児のお弁当箱より2回りほど大きいサイズですが、これは330Wという大出力モデルだから。
そこそこの重量があるので、筋トレにも活用できそうです。
ディスプレイ

ディスプレイは17.3型の4K(3,840×2,160ドット)ノングレア液晶。
好みの問題ですが、マットなディスプレイは蛍光灯などが映り込みにくいので見やすいです。
Adobe RGB比100%の色表現に対応し、視野角が上下左右178度と広いのも特徴。
色域出荷データシート
NG7630シリーズには、ディスプレイの色域に関するデータシートが付属しています。

以前、マウスコンピューターの飯山工場を見学させていただいたとき、ディスプレイの色域チェック専門のスタッフさんが働いていたのを思い出します。
ただし、いくらAdobe RGB比100%といえど、プリンターと正確に色を合わせるためにはモニターのキャリブレーションは必須。
私のポンコツ眼球で見た限り、デフォルトの状態だと赤の発色が少々強いように感じました。
普段、私はX-riteのi1Display Proを使用しています。
ディスプレイの色は少しずつズレていくものなので、メインのパソコンとモニターは2ヶ月に1度くらいの頻度でチェックしています。
キーボード

キーボードはテンキー付きで、キーストロークは約2mm。
カチャカチャと品のない音がせず、あえて文字にするならヘコヘコというか、クタクタというか・・・とにかく静かです。
強めに叩くとカチっとなる程度。

キーピッチは約18.4mm、ほんのりと表面が凹んでいることもあって打ちやすいです。

ちょっと気になったのは、右側のShiftキーやCtrlキーが小さいこと。
「、」「。」も普段私が使っているキーボードと比べて横幅が狭く作られているため、慣れるまでちょっと戸惑いそうです。
個人的には左側のShiftキーとCtrlキーを少し狭くして、左右で同じくらいの大きさにしてほしいところ。
指紋認証リーダー
タッチパッドには指紋認証リーダーも搭載。

MacBook Proのタッチパッドと比べると、少しざらついた手触りですが、操作上の問題は何もありません。
バックライトのカラーは調整可能

キーボードにはバックライトが搭載されているので、深夜に暗い部屋で作業をする人も安心。
さらに、デフォルトでインストールされているコントロールセンターを使えば、バックライトのカラーを自由に変えられます。

その日の気分やテンションでバックライトの色を変えられるのは楽しそうです。
各種ベンチマーク結果
基本的なスペックをご覧いただいたところで、CPUやストレージなどの各種ベンチーマーク結果を見ていきましょう。
値段の高いパソコンは、やはり素晴らしい結果を残してくれますね。
CPU

CPUの基本性能をチェックする上で有名なCINEBENCH R15を使ってみたところ、1736cbという結果でした。
PCWatchの記事では2000以上の数値が出ていたので、あれ?と思いましたが、それでも十分すぎるほどの性能です。
ストレージ
CrystalDiskMarkで480GBのSSD(PCle)と2TB(1TB×2)のSSD(SATA)の転送速度もチェックしました。
写真メインで使うとなると、RAWデータの読み込みにどうしても時間がかかるので、転送速度の早さは絶対正義です。
SSD(PCle)

PCleはやはり爆速でいいですね。
SSD(SATA)

SATAの転送速度は流石に落ちるものの、HDDと比べれば十分すぎるほどの早さです。
3D性能

3D性能をチェックするため、3DMarkのFire Strikeのスコアも確認したところ17208でした。
余程のハイスペックゲームでない限り、まったく問題なく楽しめるレベルです。
オンラインゲーム
有名どころのパソコンゲームが快適に動くかどうかも、各ゲームのベンチマークソフトでチェックしてみました。
いずれも1920×1080(フルHD)の環境で確認しています。
グラフィックスにGTX1080を積んでいるから当然なのかもしれませんが、なかなか素晴らしい結果が出ました。
RAW現像や動画編集だけじゃなく、人気のオンラインゲームも高画質でサクサク楽しめそうです。
FF15

高品質 | 7758(快適) |
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標準品質 | 10213(とても快適) |
軽量品質 | 13359(非常に快適) |
FF14 紅蓮のリベレーター

最高品質 | 18496(非常に快適) |
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高品質 | 20559(非常に快適) |
標準品質 | 21031(非常に快適) |
ドラゴンクエストX

最高品質 | 22861(すごく快適) |
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標準品質 | 22939(すごく快適) |
低品質 | 23590(すごく快適) |

RAW現像の処理速度結果
DAIV-NG7630U1-M2SSをお借りしている期間は、ちょうど七五三撮影のシーズンということもあり、いくつか仕事で撮影したデータをLightroomで現像してみました。
最新CPUと高性能なGPU、PCleのSSDを搭載しているだけあり、めちゃくちゃ快適です。
何が快適かというと、データの読み込みがとにかくスピーディー。
メインで使用しているMacBook Pro(Early 2015)だと、等倍表示させるだけで4〜5秒待たされますが、DAIV-NG7630なら1〜2秒。
トリミングしたり、ホワイトバランスや露出を調整したときも、タイムラグ無しでサックサク。
このパソコンを使ってしまうと、MacBook Proに戻るのがツラくなります・・・
Lightroomで書き出し
Lightroomを使用して、有効画素数3,635万のD810で撮影したRAWデータを235枚(露出などをすべて調整済み)を書き出してみました。
書き出し条件は以下の通り。
- 画像形式:JPEG
- 画質:100
- カラースペース:sRGB
- 画像のサイズ:未調整(撮影データそのまま)
- 解像度:350
- メタデータ:すべてのメタデータ(人物情報や撮影場所の情報は削除)
所要時間は約9分でした。

カタログをMacBook Pro(Early 2015)に移行して同じ条件で書き出してみたところ、30分以上かかりました。
RAWデータの書き出しはCPUの性能に大きく左右されるため、さすがは第9世代の最新CPUといったところですね。
排気音は少々うるさい
想定はしていましたが、RAW現像の書き出しのようにCPUに負荷をかけるとファンの排気音がすごいです。
静かな図書館で作業していると、新聞を読んでいるおじいちゃんから睨まれるレベル。
ハイスペックパソコンは冷却問題が常に付きまとうため、ある程度は我慢しないといけません。
ただ、排気音の問題は付属のコントロール・センターで、ある程度好みに合わせて調整可能です。

デスクトップパソコンのように水冷クーラーを搭載するわけにもいきませんから、難しいところですね。
プロのクリエイターにおすすめ

税込で50万円を越えるノートパソコンというだけあって、全方位にスキのないモデルだと感じました。
大きさと重量があるため、持ち運びには相応の覚悟と筋肉が求められますが、デスクトップパソコンと同等以上のスペックがあることを考えれば、むしろコンパクトに思えてきます。
日々いろいろなスタジオを転々としながら撮影しているカメラマンをはじめ、ネットカフェやコワーキングスペースで作業をすることの多いクリエイターにとって、非常に頼もしい相棒になってくれることでしょう。
RAW現像メインで考えるとオーバースペック感は否めませんが、仕事にも遊び(ゲーム)にも使えるパソコンと考えると、現状で最強クラスのモデルではないでしょうか。
さすがにポンと買える金額ではないので、宝くじが当たったら買いたいです・・・