マウスコンピューターのクリエイターパソコン、DAIVの最軽量モデルNG4500をお借りしました。
15.6型や17.3型など大型のクリエイターノートが多いなかで、14型というコンパクトさが特徴的な一台。
小さいボディでどれだけの実力を見せてくれるのか、RAW現像や動画編集だけではなく、各種パソコンゲームでも性能をチェックしてみました。
目次
DAIV-NG4500E5の基本情報

NG4500シリーズは、DAIVのなかでもっともコンパクトなモデル。
小さいがゆえに搭載されているCPUやグラフィックスの性能は控えめですが、外出先でも快適に作業できる実力を備えています。
「カメラバッグに入れて持ち運べるパソコンが欲しい」
「重たいクリエイターノートを持ち歩くのはしんどい」
と考えているかたにぴったりのモデルといえるでしょう。
スペック
今回お借りしたDAIV-NG4500E5の基本スペックは以下の通り。
OS | Windows 10 Home 64ビット |
---|---|
CPU | Core i7-7700HQ 4コア/ 2.80GHz/ TB時最大3.80GHz 6MB スマートキャッシュ/ HT対応 |
GPU | GeForce GTX1050 ビデオメモリ2GB |
メモリ | 8GB 最大32GB(16GB×2) |
ストレージ | 500GB HDD |
搭載されているCPUは、第7世代のCore i7-7700HQ。
記事執筆時点でIntelの最新CPUは第9世代のため、2世代前のモデル。
CPU-Zの分析結果は以下の通り。

勝手な予想ですが、そう遠くない未来にCPUがアップデートされたモデルも販売されそう。
グラフィックスはエントリークラスのGTX1050、メモリとストレージもクリエイターノートとして最小限のスペックといえます。
ラインナップ
DAIV-NG4500シリーズのラインナップは以下の通り。
グラフィックスはすべてGeForce GTX 1050で統一されています。
モデル | CPU | ストレージ | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
NG4500E5 | Core i7-7700HQ | HDD 500GB | 8GB | 119,800円〜 |
NG4500E2-M2S5-C | Core i7-7700HQ | M.2 SSD 512GB | 8GB | 129,800円〜 |
NG4500E2-SH2 | Core i7-7700HQ | M.2 SSD 256GB HDD 1TB | 16GB | 139,800円〜 |
NG4500H2-S10-C | Core i7-7700HQ | SSD 960GB | 16GB | 159,800円〜 |
NG4500M1-SH5-CS | Core i7-7700HQ | M.2 SSD 512GB HDD 1TB | 32GB | 169,800円〜 |
NG4500U3-M2SH5-C2 | Core i7-7700HQ | M.2 SSD 512GB HDD 2TB | 32GB | 174,800円〜 |
今回お借りしているDAIV-NG4500E5はもっとも安いモデルで、いまどき珍しいHDDのみのストレージ。
上位モデルはいずれもメインストレージがSSDになっています。
後で詳しく書きますが、メインストレージはSSDにすることを全力でおすすめします。
記載しているラインナップや仕様、価格は記事執筆時点のものなので、最新情報はその都度公式サイトにてご確認をお願いします。
さらに薄型・軽量なNG4300シリーズ

NG4500シリーズの販売終了に伴い、さらに薄型で軽量なNG4300シリーズがリリースされました。
NG4300シリーズは14型ディスプレイのクリエイターノートで、グラフィックスはGeForce MX250を搭載。
主なラインナップは以下の通り。
モデル | CPU | ストレージ | メモリ | 価格(税別) |
---|---|---|---|---|
NG4300E1-S2 | Core i7-8565U | M.2 SSD 256GB | 8GB | 129,800円〜 |
NG4300S1-S5 | Core i7-8565U | M.2 SSD 512GB | 8GB | 139,800円〜 |
NG4300H1-M2S5 | Core i7-8565U | M.2 SSD 512GB | 16GB | 149,800円〜 |
NG4300U1-M2S10 | Core i7-8565U | M.2 SSD 1TB | 16GB | 159,800円〜 |
第8世代のCPUを搭載し、NG4500シリーズよりボディは小さくなっているのに性能は同等以上にアップ。
持ち運びやすさも格段に上がっているため、これから薄型・軽量なクリエイターノートを探すならNG4300シリーズがおすすめです。

外観・サイズ
ここからは外観や大きさなどを見ていきます。

本体の寸法は349×247mmと、一般的な薄型ノートPCと比べると少し大きめです。
クリアファイルと重ねてみると、こんな感じです。

男性が持ち歩くようなビジネスバッグなら、問題なく持ち運べるサイズです。
小さめのカバンだと、少しキツイかもしれませんね。

裏面はこのようになっていて、廃熱のためにところどころメッシュ状になっています。

重量は約2.2kgと、そこそこの重みを感じます。
男性なら片手で難なく持ち歩ける重さです。
インターフェイス
ここからはインターフェイスを見ていきます。
右側面にはUSB3.0のポートが2つと、LAN端子にSDカードなどを読み込めるカードリーダー、ケンジントンロックも用意されています。

カードリーダーの上にSIMカードスロットが搭載されているものの、NG4500シリーズは未対応。
ちょっと残念なポイントです。
左側面を見てみると、mini DisplayPortが2つにHDMI、USB3.1とUSB3.0が1つずつ、ヘッドフォンなどをつなげられる端子も用意されています。

接続端子が複数用意されているので、カラーマネジメントモニターともスムーズに接続できますね。
VGA端子は非搭載なので、必要な方はアダプターを別途購入しましょう。
背面はACアダプター用の端子と排熱用のダクトのみ。

CPUに負荷のかかる作業中は結構な温風が出てきます。
熱に弱いものの近くで作業するのは避けたほうがよさそうです。
ACアダプターは大きめ

付属しているACアダプターは120Wで、一般的なノートパソコンのACアダプターより大きめです。
高性能なパソコンほど電力を消費するため、ACアダプターも大きくなりがち。
DAIVのハイエンドモデルになると、AVアダプターのサイズは幼稚園児のお弁当箱くらいの大きさに。
NG4500シリーズのACアダプターはまだ小さいほうです。
仕様上のバッテリーの動作時間は約5時間。
ちょっとした事務作業ならバッテリーだけでなんとかなりそうですが、RAW現像や動画編集などの作業をするときは、基本的にACアダプターをつなげましょう。
ディスプレイ

ディスプレイはフルHD(解像度1,920×1,080)のノングレア(つや消し)液晶。
蛍光灯が映り込むように写真を撮影していますが、ぼんやりとぼやけているのがわかるでしょうか。
「RAW現像やレタッチをするときはツヤツヤのディスプレイのほうが見やすい!」
という人もいると思いますが、長時間作業をするならノングレア液晶のほうが目が疲れにくいです。
ベゼル(ディスプレイのふち)が厚めなのと、Adobe RGB比やsRGB比に関するスペックが公開されていないのが気になるポイント。
DAIVにはAdobe RGB比100%のディスプレイを搭載したクリエイターノートもありますが、サイズは17.3型にアップします。
厳密に色を管理したい方は、カラーマネジメントモニターとキャリブレーションツールを購入しましょう。
キーボード

キーボードはテンキーなしの日本語配列で、仕様上のキーピッチは18.75mm、キーストローク約1.5mm。
実際に触ってみると、キーストロークは若干浅く、スペースキーの横幅も少し狭いように感じました。
キータイプ音はカタカタ系でした。
キーストロークが浅めだからか、パソコンの底を叩いているような打鍵感です。
タイピングシーンを30秒ほどの動画にしたので、実際にキータイプ音を聞いてみてください。
普通に使う分にはまったく問題ありませんが、打鍵感にこだわる方はキーボードを外付けすることをおすすめします。
価格を抑えたモデルなので、多くを求めてはいけませんね。

タッチパッドはサラサラとした触感で、可もなく不可もなくといった印象です。

バックライトも搭載されていますが、ゲーミングキーボードのように色を自由に変えることはできません。

NG4500シリーズはクリエイターノートですが、パソコンゲームで多用するWASDキーが目立つようになっています。
ただ、慣れの問題とは思いますが、実際にWASDキーに手を置いてみるとスペースキーがちょっと遠く感じました。
PUBGやフォートナイトなどはスペースキーがジャンプなので多用するんです。
各種ベンチマーク結果
ここからはCPUやグラフィックスなどの性能を、各種ベンチマークソフトを使用しながら検証していきます。
CPU

CINEBENCH R15でCPUの性能をチェックしたところ、726cbという結果でした。
ゲーミングノートなどに搭載されている第8世代のCore i7-8750Hと比べると差はあるものの、一般的な薄型ノートPCよりは高性能です。

グラフの数値はいずれも当ブログで検証したものなので、参考程度にお考えください。
ストレージ
今回一番気になったのがストレージの転送速度。
CrystalDiskMarkでチェックした結果がこちら。

HDDとしては一般的な数値ですが、メインストレージがHDDだと目に見えてパソコンの反応が遅くなります。
たとえば、SSDとの転送速度とのちがいは以下の通り。

普段、転送速度が3,000MB/sを超えるSSD(NVMe M.2)を搭載したパソコンを使っていることもあって、あまりの反応の遅さに苛立ちを隠せませんでした。
仕事で使うことを考えている方はとくに、メインストレージはSSDにしましょう、絶対に。
1~2万円で快適さを手に入れられるなら安いもんですよ。
3D性能

オンラインゲームを快適にプレイするうえで重要な3D性能をFire Strikeで検証したところ5634という結果に。
GTX1050はエントリークラスのグラフィックスですから、こんなものでしょう。
グラフィックスによるFire Strikeのスコアは以下の通り。

いずれも当ブログで検証した数値ですが、高価なグラフィックスほど高いスコアが出るという非常にわかりやすい結果です。
参考までにお伝えすると、もっとも高い数値をたたき出しているRTX2080は、グラフィックス単体で10万円を超える化け物です。
オンラインゲーム
有名どころのオンラインゲームが快適に動くかどうかも、各ゲームのベンチマークソフトでチェックしてみました。
いずれも1920×1080(フルHD)の環境で検証しています。
GTX1050だとFF15を高画質でプレイするのは少々厳しいですが、FF14クラスのゲームなら標準画質で快適に遊べそうです。
ドラゴンクエストXについては、何度試しても最高品質より標準品質のほうがスコアが下がるという謎の現象が発生しました。
FF15

高品質 | 1846(動作困難) |
---|---|
標準品質 | 3212(普通) |
軽量品質 | 4470(普通) |
FF14 紅蓮のリベレーター

最高品質 | 6255(とても快適) |
---|---|
高品質 | 7925(非常に快適) |
標準品質 | 8961(非常に快適) |
ドラゴンクエストX

最高品質 | 6733(快適) |
---|---|
標準品質 | 4943(普通) |
低品質 | 6722(快適) |
オンラインゲームを実際にプレイ
ベンチマークソフトを走らせるだけではわかりづらい点も多いので、実際にオンラインゲームを遊んでみました。
プレイ動画と合わせて参考にしてみてください。
フォートナイト
FPS(First Person shooter)ゲームのなかでも比較的軽いとされるフォートナイトで遊んでみたのですが、なかなか厳しい結果になりました。
高品質でプレイするとフレームレートは20前後にまで低下。
フレームレートが20~30になると、敵が瞬間移動しているように見えて、さっぱり攻撃が当たりません。。
最終的にたどり着いた設定は以下の通り。

最低画質に設定しても、フレームレートは40~50前後をフラフラと。
あからさまに画質も落ちますし、快適にプレイできるとはいえませんでした。
ロックマン クラシックコレクション
「NG4500シリーズでパソコンゲームを快適に遊ぶことはできないのか・・・」
とあきらめかけた私ですが、「どうにかゲームで遊びたい!」とレトロゲームに手を出してみました。
試してみたのはロックマン クラシックコレクション。
10年以上ぶりにロックマンで遊んでみましたが、「こんなに難しかったっけ・・・」と難易度の高さに愕然。
ボスの部屋にすらたどり着けない下手くそっぷりですが、プレイ自体は非常に快適でした。
操作はXbox 360用のコントローラーを使っています。

RAW現像の処理速度を検証
パソコンゲームではパッとしない結果になってしまいましたが、ここからDAIVの本領発揮といきましょう。
AdobeのLightroomを使用して、RAW現像の処理速度をチェックしてみました。
まずは各種プリセットを適用したときの反応速度を見てみましたが、処理が遅延することもなく、サクサク快適です。
続いて実際に各種パラーメーターをいじりながら、現像をしてみました。
ホワイトバランスや周辺減光などの調整もスムーズに動いてくれますが、画面の小ささがちょっと気になります。
Lightroomで作業するときは、できるだけ大きな画面のほうが操作しやすいです。
書き出し速度はごく普通
現像時の処理速度だけではなく、jpegへの書き出し速度もチェックしてみました。
使用したのは有効画素数3,635万のD810で撮影したRAWデータ100枚。
書き出し条件は以下の通りです。
- 画像形式:JPEG
- 画質:100
- カラースペース:sRGB
- 画像のサイズ:未調整(撮影データそのまま)
- 解像度:350
- メタデータ:すべてのメタデータ(人物情報や撮影場所の情報は削除)
かかった時間は約6分半。

Core i7-8750Hを搭載したノートパソコンだと、同じデータを約3分程度で書き出せるので、早いとは言えない結果です。
とはいえ、時間に追われているプロカメラマンでない限り、100枚のRAWデータを6分で書き出せるなら問題ないでしょう。
Photoshopでレタッチ
Lightroomだけではなく、Photoshopでレタッチも試してみました。
レタッチといっても色調補正程度ですが、これもまた処理速度が大幅に遅延するようなことはありませんでした。
Photoshopを使うときも、やっぱり大きいディスプレイが欲しくなりますね。
動画編集の処理速度を検証
最後にPremiere Proで動画編集も試してみようと思ったところ、「画面のサイズが小さい」という警告画面が表示されました。

このページに掲載しているすべての動画は、すべてDAIV-NG4500E5で編集したんですが、細かいパラメーターをいじるのが少々大変でした。
動画をいじるときは外付けのディスプレイを使ったほうがいいですね。

画面は小さいものの、書き出しもスムーズで作業中にフリーズするようなこともありませんでした。
ただ、ガッツリ動画を作りこむ方はメモリを16GBに増設したほうがよさそうです。
持ち歩けるクリエイターノート

DAIV-NG4500E5をいろいろと触ってみましたが、15万円前後と手が届きやすい価格をはじめ、持ち運びやすいという最大のメリットも実感できました。
ただ、小型・低価格ゆえのデメリットがあることも事実。
価格を抑えるために性能も控えめですし、写真加工や動画編集は大きいディスプレイのほうがやりやすい、という点もあります。
「安さより性能の高さを優先したい!」
という方はDAIVの上位モデルがおすすめです。
手ごろな価格で持ち運べるクリエイターノートを探している方は、DAIV-NG4500シリーズを候補に入れてみてください。